2024年度 連合北海道・航空連合北海道 「北海道に対する航空課題に係る要請及び意見交換会」を実施
【連合北海道・政策情報No.4(2024年5月8日)】
2024年4月30日(火)、連合北海道と航空連合北海道は、「北海道に対する航空課題に係る要請及び意見交換会」を実施し、北海道に対し要請を行った。
航空関連産業を取り巻く状況や道内空港における課題については、本要請内容を踏まえ、連合北海道の政策・制度実現に向けた取り組みの一環として道及び中央省庁要請においても意見反映していく。
冒頭、連合北海道の荒木副事務局長が前川航空港湾局長に「2024年 北海道に対する航空課題に係る要請書」を手渡した後、「急激な円安と物価高の影響を受け、航空関連産業においても人手不足が深刻化するなど厳しい状況にある。新千歳空港に2024年夏期(3月31日~10月26日)に就航する国際定期便は、2019年夏期と比べ約4割少ない便数に留まることが国交省の集計で分かった。円安もインバウンドを取り込む追い風となっているものの、中国本土便が大幅に落ち込んだまま回復していないことに加え、グランドハンドリングの人手不足も影響していることから、航空業界の回復に向けた事業者への支援の拡充など、より一層の取り組みをお願いしたい」と挨拶した。
具体的な要請内容については、航空連合北海道の松本会長から以下の3点を説明した。
①さらなる需要回復と需要の掘り起こしに向けた観光施策
②需要と連動した空港の環境整備
③雇用の確保・獲得に向けた施策
要請を受けた北海道・前川航空港湾局長からは「昨今の航空関連産業を取り巻く状況は、コロナ禍に伴う行動制限がなくなり回復しつつあるものの、リモート等の普及により飛行機を利用する出張が減少傾向にある。また、グランドハンドリングの人手不足が顕在化していることから、道としても新たな受け入れ体制について取り組む必要がある。道内の航空関連のネットワークを拡充するとともに、空港の利用促進に向け市町村が実施する取り組み等についても支援していきたい」との発言があった。続いて、道からは①「アドベンチャートラベルの全道普及に伴い、地域特性に応じた魅力ある観光づくりを支援したい」(観光振興課大島課長補佐)、②「エアポートの活性化に向け、国内・国際線のビルの新設や既存の改修工事、ユニバーサルデザインの推進、多言語対応の機能強化に向け着実に実施するよう国や北海道エアポート株式会社に働きかけたい。空港内の自動化機器導入の補助事業等についても道は引き続き国に要請していきたい」(村田空港戦略担当課長)、③「道では今年度航空機利用促進PRイベントに取り組んでいく。2次交通の確保については、ICカードについて利便性向上の有効なものとして道としては、交通事業者に対し支援制度化するよう国に働きかけたい」(丹野航空課長・田中交通企画課課長補佐)、④「除雪については、令和2年から道としてはモニタリングを実施し、航空機運航の安全について国に要請してきた。大雪時の対応としては、地下鉄大谷地駅までのピストン輸送を実施している。また、降雪情報としてはJR札幌駅や地下鉄大通駅のデジタル情報を流すほか、北海道運輸局がHPやSNSで発信している。道はバスやタクシー事業者も参画する連携会議にオブザーバーとして参加し、今後も運輸局等と連携を図りたい」(丹野航空課長)、⑤「人材確保の取り組みとして、今年度においても航空産業の認知度向上に向けて小学生から高校生までを対象とした航空教室等の補助対象事業を今年度も実施する。職場環境の改善に向けたさらなる環境整備については航空従事者の駐車場確保等も含め、国や北海道エアポート株式会社に働きかけたい。カスハラについても非常に重要な取り組みであり、国と連携して取り組みを進めていきたい」(丹野航空課長、村田空港戦略担当課長)等との回答があった。
次に、意見交換の場においては、航空連合の赤池副事務局長から「航空連合で実施したアンケート調査では約5割の従業員が『過去1年以内にカスハラ被害にあった』と回答している。手荷物検査場などで罵声を浴びるなど日常業務に支障をきたしていることから、空港施設内にカメラ設置を導入するも各会社がカメラ設置の費用を負担している現状にある。こういった対策にもご支援いただきたい」との要望があった。続いて、航空連合北海道の滝谷事務局長からは「航空連合は毎年7月に北海道エアポート株式会社に対して政策提言を行っている。なかでも空港内の従業員の安全が重要であると考えている。スキーやスノーボードをベルトコンベアに載せる作業が手作業のため、グランドハンドリングスタッフに腰痛が発症している。空港施設リニューアルに際しては、ユーザーはもとより空港内従業員の安全面も確保していただきたい」などと述べ、安全衛生の観点についても要望があった。さらに、連合北海道の永田総合政策局長は「人手不足解消に向けては、就労環境だけでなく生活面の環境整備がなければ労働者が離れてしまう」と懸念を示した上で、「トヨタのウーブンシティやコンパクトシティなどモデル都市を参考として、空港周辺の都市構想やまちづくりも重要と考える」と述べた。加えて「道内空港で観光地が選定できる着地型観光に向けたメニューづくりにも取り組んでほしい」と提案した。これに対し、丹野航空課長は「道内の主要な空港は国と北海道エアポート株式会社が管理していることから、今回いただいた意見等については、道としても国や北海道エアポートに対し働きかけていきたい」とした上で「道が管理している女満別空港については、課題解決に向けたモニタリングを実施し、空港運営の改善に取り組んでいる」と述べた。「航空産業について高校生や大学生のみならず小中学生にも興味を持ってほしい」との航空連合からの要望は、「道としては小学生から高校生までを対象とした空港を支える業務の認知度向上に向けた事業等の一環として企業等が実施する航空教室等へ支援として上限を150万円とする補助金450万円を予算立てしている」とし、「道としても航空教室の支援等については重要な取り組みと考えている」と回答するなど、活発な意見交換が行われた。
以 上