南スーダンの韓国軍への弾薬譲渡に対する談話

連合北海道事務局長 出村 良平

安倍政権は12月23日、国連と韓国軍から要請があったとして、南スーダンで国連平和維持活動を実施している陸上自衛隊保有の弾薬を譲渡した。
このようにPKO法に基づき他国軍に殺傷性の高い武器を譲渡するのは初めてであり、武器輸出三原則に抵触することは明確である。戦後を通して堅持し続けてきた国際社会における日本の平和的貢献が大きく揺らぐことに強い危機感を覚える。

弾薬の譲渡について、政府は先の国会で成立させた国家安全保障会議において、首相や防衛大臣など4者会合を開催し、わずか一日で即断した。官房長官談話では、緊急の必要性・人道性が高いなどとし、武器輸出三原則の特例として、説明している。

歴代内閣は、PKO法による物資提供について、「武器や弾薬、装備は含まれていない」、「国連から要請があったとしても断る」と国会答弁を繰り返し、法律の制定当時から国連への自衛隊の武器・弾薬の譲渡については明確に否定してきた。しかし、政府は、「物資協力ができる」と規定した条項をもって、「法的には武器弾薬を除くという適用除外は書かれていない」と主張し、これまでの政府見解を翻して正当化している。

このように緊急事態として、弾薬譲渡を拙速に判断し、武器輸出三原則の「例外措置」としたことは、これまでの国会論議の蓄積によって「武器・弾薬の供与はしない」としてきた政府見解と武器輸出三原則に矛盾し、国民に対する二重の欺きであり、決して看過することはできない。武器譲渡に関わり、日韓両政府の説明の食い違いも報道され、緊急性・必要性の疑念も生じてきている。また、わずか数名の閣僚の判断による日本版NSCの問題性や安倍政権の独善的・独裁的政治手法の危うさが一層明確となった。

これまで安倍政権は、多くの国民の反対をおし切り、特定秘密保護法や国家安全保障会議などを法制化してきた。また、国家安全保障戦略などにおいても、愛国心の明記や武器輸出三原則の緩和、専守防衛からの転換を図るなど、集団的自衛権行使の容認を視野に、最終的には憲法9条の改悪を目論んでいることは明らかである。
連合北海道は、国民への説明や論議もないまま、既成事実化を図るなし崩し的な武器三原則の逸脱を許さず、武力によらない平和的解決を求めるとともに、働くことを軸とする安心社会の実現に向け、憲法の基本的人権、国民主権、平和主義の三原則に基づき、運動を強化していく。

以 上