2010年度(平成22年度)北海道予算案についての談話
1.2010年度道予算案が2月17日、発表された。この予算案は、高橋道政2期目としては最後の政策予算となるもので、経済・地域・環境を重点政策の3本柱に据え、「人と地域が輝き、環境と経済が調和する、世界にはばたく北海道」をめざすとしている。
2.一般会計の規模は前年度より2.0%少ない2兆8,181億円で、歳出面で前年度と大きく異なる点は、公共事業費が966億円・約22%減少する一方、中小企業対策や雇用対策等の予算である一般施策事業費が約15%増えて、5,978億円となっている。これは、国の公共事業予算が削減される中で、国の雇用対策予算等の拡充を反映したものであると受け止められる。 歳入面では道税収入の落ち込みを補うため、当初予算で6,879億円にのぼる道債を発行するなど依然、借金頼みの財政運営が続いているが、補正予算で道債を繰り上げ償還することで公債依存度を24.4%に抑え、早期健全化団体の指定回避を図っている。
3.連合北海道が最も充実・強化を期待する雇用対策については、既存の緊急雇用創出事業に加え、人手不足や重点分野の雇用創出・人材育成等を目的に国が新たに創設する「重点分野雇用創造事業」の交付金73億5千万円を活用することとしている。 課題は、地域の雇用状況の改善につながるよう、いかに実効をあげられるかである。
4.2010春季生活闘争の前段行動としてこの2月に連合北海道は、市町村役場や商工関係団体、高等学校、農協や漁協など91カ所を訪問して、新規学卒者の就職支援や雇用の維持・創出に関する要請および意見交換を行う全道キャンペーンを展開してきた。 この取り組みを通じて明らかになったことは、国や道の雇用対策事業を実施するにあたり、事業主体の市町村や委託先企業・NPOならびに関係機関・団体などとの間で課題を共有し、地域実情に応じた支援と連携を実現することである。道には、地域の関係者とともに汗をかき、積極的に地域の雇用政策をコーディネイトする役割を果たすことが求められる。
5.低迷する道内経済を活性化するためには、地場産業の振興や雇用の維持・確保、地域の医療・福祉・教育を確保することが、まさに「人と地域が輝く」ための基盤である。だが、雇用環境の改善は進まず道民所得は低下する一方である。依然として医師不足など、地域の医療提供体制の縮小に歯止めがかかっていない。 地域医療に関する新年度事業では、国の地域医療再生基金による事業予算が組まれるなど、地域の医療提供体制の確保に向けた諸事業が盛り込まれている。地域医療に関して連合北海道は、市町村や地域住民の参加と連携を繰り返し求めてきたが、今後、道の事業展開においては、その姿勢をより強く打ち出すことが求められる。
6.政権交代の背景には、行き過ぎた格差と二極化した社会のもとで、地域の疲弊や勤労者の生活破壊に対する国民の怒りがあった。連合が訴え続けてきた政策転換は、ようやくその端緒につき、鳩山政権には地域や人を大切にする政治が期待されている。このような期待は国政のみならず道政にも向けられており、道はそうした期待に応えるよう実効ある予算の執行が求められる。 連合北海道は、道議会議員団会議や民主党北海道と連携し、引き続き本道経済の活性化と再生、雇用対策の拡充、勤労道民のセーフティ・ネットの確立に向け、産別、地協・地区連合はもとより広く地域住民とともに道民運動を強化する。
以上